1.仕事をしないことは悪いことか。
最近知人から、仕事をしないことは「社会と共存していない。」と言う言葉を聞き、FIREすることは悪いことなのか。と思いました。
私は一時期、仕事を辞めてバックパッカーで皿洗いや絵を売って、世界を旅していることがありました。そんな仕事をしていない時期、よく親から、「仕事をしろ。仕事をしないと一生、片端(カタワ)だぞ。と言われました。「カタワ」というのは「片端」、「片輪」という言葉で、車の車輪が片方だけのように、体の片方や体の一部に障害があることで、親は「仕事をしないと一生結婚もできないぞ。」という意味で使っていたのだと思います。今思うと何とも差別的な発言だと思いますが、自動車販売の仕事をしていた父は、よく車に例えて話をしていました。
2.世界的な視野で見ると
しかし世界を旅して思ったのは、案外、「働いていないで生活している人も多い。」と言うことでした。アジアでは優しい方が多く、仕事もなく貧しい方に何度か助けられました。また仕事をしないのは資産家やセレブのお金持ちだけでなく、スペインでは昼間から若者や年配のおじさんが平日の昼間からお酒を飲んでおり、あまり働かない国民性のように感じました(笑)
現在のスペインの若者の失業率は43.9%で、2人に1人が失業しています。しかし世界の幸福度ランキングでは、日本が54位に対し、スペインは29位です。また人口10万人あたりの自殺率は日本が18位に対し、スペインは123位です。しかしGDPはスペインが$46551で日本が$48812であり、経済状況はそれほど変わりません。
ちなみに幸福度の1位は福祉国家のフィンランドで2位デンマーク、3位アイスランド、4位スイスと北欧の幸福度が高いように思います。現在、日本では軍事費増大のための増税が言われていますが、日本も国民が幸福になるように、社会福祉に税金が使われてほしいと願います。
知人からFIREして「働かないのは、社会と共存していない。」との話に戻りますが、父も日本で2番目の成績の車のトップセールスマンで仕事人間でした。父は脳卒中で左半身不随で、身体的にはカタワと言われる状態になりましたが、多分、父が喋れて元気なら、「働かない。」と言ったら、同じことを言ったと思います。
「社会と共存する。」という意味から考えると、確かにパン屋さんがパンを売り、電気屋さんが電化製品を売り、仕事をしていることはお互いが社会を支え合い共存し、働いていないのは共存していないと言えます。また正直、日本では給料の上がらない非正規雇用より、公務員や正社員でないと生活が安定しないため、なかなか結婚しようと思えないです。
しかし現代の社会は仕事をすることだけが共存ではなく、ボランティアなど仕事以外で社会と関わっている方もいます。絵画や音楽など、仕事と言う意識がなく趣味で社会と関わっている方もいます。企業のボランティア活動のように、植林や井戸を掘ったり、ボランティアからNPO法人を立ち上げ、後から仕事にする方もいます。
「社会との共存」の意味は、日本の社会は当てはまりますが、世界で考えると「依存」になります。現在の日本は、支払っている税金より受けているサービスの方が大きいです。過去のローマ帝国の市民生活は、周辺諸国の多くの奴隷の上に成り立っていました。奴隷ではないですが、日本の社会も百円均一や○○クロの安い服も、中国のウイグル自治区など低賃金で仕事をしている方がいるので、日本で安くで物が買えています。
3.FIREは悪ではない
以前、流行ったFIREですが、最近は「FIREを卒業して再就職した。」という話をよく聞きます。
経済面では2020年、2021年はコロナ後の金融緩和で、どんな株を買っても利益が出ました。しかし2022年からの利上げ、金融引き締めで利益が出なくなったのも理由の一つだと思います。また精神面でも働かないことが続くと、「生きがい」を感じられないことがあると思います。
FIREでなくても定年を迎えた人で、これまで仕事だけで趣味もなく、社会とつながりがなかった人が、老後することがなく家に引きこもってしまうのと同じだと思います。
FIREすることや仕事をしないことが悪ではなく、それまで仕事で生きがいを持っていた人が、FIREをすることで生きがいをなくしてしまうことが問題に思います。まずは仕事をしなくても生活できるように、資産形成する必要がありますが・・・(笑)
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